【ケース】
土地の境界線確定
【背 景】
土地を売却するにあたり、売主様側で隣接地との境界線を確定することを条件とした契約となるため、
その作業を専門とする「土地家屋調査士」に依頼することになりました。
原則、対象不動産に接するすべての方たちから境界について同意を得る必要がありますが、
それぞれ認識の違いや、また古くに形成された土地になるといろいろな感情が表面化するのが境界確定の難しさです。

【トラブルポイント】
図表Aの場合:必ずしもブロック塀などの仕切りが境界線というわけではありません。
正式な測量を行うと仕切りとズレていることもよく見受けられます。そうなると境界線について同意をもらう際に意見の相違が出てしまったり、
仕切りの構造物は誰のものか、または構造物の越境問題が発生します。
図表Bの場合:このご時世、ご近所付き合いが少なくなり、また色々な詐欺も出回っているため、専門的でよく分からないという理由に
署名という行為に抵抗を示す方もよく見受けられます。理屈ではなく心理的な問題であるのでなかなか解決の糸口が見つからないこともあります。
いかんせん相手方は現状、署名しなくても困らない立場なのでそのようなことが起きてしまいます。
図表Cの場合:これまた昨今の社会問題となっていますが、お隣さんの所在が不明で、そもそもコンタクトを取れないという問題です。
このように境界線確定は利害関係者がたくさんいるので実際にやってみないと何が起きるか分からないというリスクがつきまといます。

【押さえておくポイント】
◆現地に境界標(目印)は残っているのか!
⇒対象となる不動産の隅々に境界線の目印が残っていると手続きや問題が軽減されます。逆に目印が欠損している場合は注意が必要です。
◆法務局に測量図面が登記されているのか!?
⇒以前に測量業務を行っている場合、その内容が法務局に備え付けられていることもあります。残っていますとそれが一つの指標となりますのでスムーズに進行できる可能性が高くなります。
◆筆界確認書は手元に保管されているのか!
⇒過去に隣接地と境界に関する取り決めをした記憶がある方はその書類は大事に保管ください。そのまま活用できる可能性があります。
◆最後に測量した時期も重要!
⇒過去に測量を行っていたとしましてもあまりに古すぎる場合は再度測量をし直さないといけない場合があります。
◆隣接地から境界立会の依頼があればきっちり対応しよう!
⇒相手方の費用で境界線が確定することは有難いことです。境界線に対し主張がある場合でも折り合いをつけて確定することをお勧めします。境界線の確定は相互の関係性が強く、確定しなければ将来的にご自身にも同じ問題が生じ、結果として不動産の価値を毀損する恐れもあります。
【押さえておくポイント】
相続不動産における「境界明示」の重要性
不動産取引においては、トラブル防止の観点から、売主様が買主様に対して土地の境界を明示することが原則とされています。
特に相続不動産の場合、境界が曖昧なままになっているケースも少なくなく、売却や活用の場面で思わぬ支障が生じることがあります。
また、境界線が確定していない土地は、分筆(土地を分ける行為)を行うことができません。
その結果、本来であれば選択できたはずの売却方法や活用方法が制限され、不動産の持つ潜在的な価値を十分に活かせない可能性もあります。
境界線の確定には、隣接地所有者との丁寧な調整が不可欠です。
単なる測量作業ではなく、過去の経緯や感情面にも配慮しながら進める必要があるため、依頼する専門家(測量士・土地家屋調査士)の力量が結果を大きく左右します。
そのため、専門家選びにおいては、費用の安さだけで判断するのではなく、対人調整力や現場対応力に優れた方を選定することが重要だと私たちは考えています。
境界確定は一度で終わらず、何度も現地に足を運び、粘り強く調整を重ねなければならないケースも珍しくありません。
「ただ手続きを進める」のではなく、
将来のトラブルを未然に防ぎ、不動産の価値を守ることが大切なので
境界や権利関係に少しでも不安がある場合は、早めの整理が、結果的にご家族の安心につながります。
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